同じ土で同じ野菜を育てると上手く育たないなぁ
連作障害っていうのがあるらしいわ。
プランター栽培だと同じ土を使い続けるし、対策はないかしら?
同じ土で同じ野菜を栽培していると連作障害(生育障害)が発生することがあります。
連作障害の原因は
- 土の中の微生物のバランスが悪くなること
- 病害虫の発生
などが主な原因と言われています。
連作障害を避ける簡単な方法は、同じ場所で同じ野菜を育てないこと。
もしくは、接ぎ木苗を使って栽培すること。
でも、私のようにプランター菜園していると同じ土を使い続けることも多いと思います。
そうなると連作障害は避けて通れません。
一方で、接木苗を使うにはコストがかかります。
色んな野菜を低コストで栽培でき、家庭菜園を楽しむにはあまり苗にコストを掛けられません。
コストをかけずに連作障害の対策はできないのか?
と思い調べてみると、意外な方法で連作障害を乗り越える工夫がありました。
実際に私もやってみてとても簡単だし土も豊かになる方法でしたので紹介します。
今回の記事を読むことで
といったことが分かります。
良かったら最後までご覧くださいね^^
【竹炭の優れた特長】連作障害に強い土作りの方法とは
連作障害に強い土にするには、竹炭を土に加えることです。
竹炭を入れることで微生物の住処が増え、微生物が増えやすい環境が整います。
連作障害の原因として
・土の中の微生物のバランスが崩れている
があり、微生物に適した環境を整えると色んな微生物が増えやすくなります。
その環境を整えるのに良いのが『竹炭』です。
竹炭って本当に連作障害に効果があるのかしら?
と思い調べてみると、2005年に掲載された『竹炭利用によるホウレンソウの11作連続栽培』によれば
竹炭の施用は連作障害の発生に明らかな防止効果が認められた。
また、新規に造成した圃場では年間9作、連続11作の栽培が可能であった。
島根中山間ゼ研報1:竹利用によるホウレンソウの11作連続栽培より
と記載があり、竹炭利用によって連作障害を克服できることが報告されています。
また、竹炭利用によって連作障害を克服できた理由として
竹炭は多孔質で、その孔径の大きさによって種々の微生物の棲み分けを可能にしている。
竹炭は木炭類に比べてカリウム、マグネシウム、ナトリウム、ケイ素、マンガンおよび亜鉛をより多く含み、連作によって欠乏した微量要素を長期にわたって補給することができる。
島根中山間ゼ研報1:竹利用によるホウレンソウの11作連続栽培より
と述べています。
微生物の住処を竹炭で提供することで、様々な微生物が住み着き、多様性のある環境が整います。
竹炭にはマグネシウムをはじめとした微量要素を長期にわたって提供できるのはスゴイことですよね。
そういった理由から竹炭は連作障害を克服する1つの手段になるんですね^^
竹炭を土に混ぜれば連作障害が回避できるんだね!
【竹炭の優れた特長】竹炭の他のメリットとは
竹炭を利用することで連作障害を克服できます。
実は他にも竹炭のメリットがあり、まとめると以下のようになります。
それぞれについて詳しく紹介しますね。
土壌の酸性化を矯正できるかもしれない
竹炭はアルカリ性だから土壌に散布すると土壌もアルカリ性に偏るといわれています。
しかし、日本土壌肥料學會の2014年の論文『竹炭の成分組成から見た土壌改良資材としての特徴』によると以下のように述べられています。
ただし竹炭施用で、実際に土壌 pHが上昇するかどうかは異論がある。
上野 ら (2012)、Liu et al. (2011) ともに土壌pHが増加することを示した。
しかし、浦田ら (2007)はpHの増加は見られなかったと述べた。
日本土壌肥料學會:竹炭の成分組成から見た土壌改良資材としての特徴より
論文で調査した竹炭は
- 関東以西の12都府県から「土壌改良資材あるいは「園芸用」と称した15種類
を使っており、pHの値に若干の差があるものの15種類すべてでアルカリ性を示したとのこと。
竹炭自体はアルカリ性であることは間違い無いようです。
別の論文誌の日本土壌肥料学雑誌(2015)『土壌pH中和資材としての竹炭の有効性』によると
本研究の結果は、竹炭の持つ土壌pH中和能がおおむね小さいことを示唆した。
なぜなら、竹炭の2.5%添加が土壌pHを最大0.3単位しか上昇させなかったからである。
日本土壌肥料学雑誌(2015):土壌pH中和資材としての竹炭の有効性より
上記論文中では、『竹炭自体がアルカリ性であること』と『土壌中和能があること』は相関性が無いことが指摘されています。
アルカリ性のものを土壌に入れると土壌がアルカリ性に傾くのは、特定の成分が多く含まれているかどうかで決まるとのこと。
特定の成分とは、炭酸カルシウムや炭酸カリウムといった炭酸塩です。
竹炭の場合は、炭酸カルシウムや炭酸カリウムなどの含有量がpHを増加させるほど多く含まれるわけではないため、土壌中和能が低かったとまとめられています。
ただし、散布する土壌が砂質土壌のような場合には少しの成分でもpH増加が起きるので注意が必要とのこと。
竹炭はアルカリ性でも土壌散布してもアルカリ性に傾くか土壌次第なんだな。
塩害の影響を軽減できる
野菜を育てて塩害になる。
そんなこと聞いたことがありませんでしたが、実は連作障害の原因が塩害ということも指摘されています。
肥料の中で農作物が吸収しなかった成分が化学反応を起こして塩分濃度が高くなることがあります。
肥料に塩分が含まれていなくても土の中にある金属イオンと結合することによって塩化ナトリウムが生成され、それが一定濃度を超えると塩害を引き起こします。
農業メディア│Think and GROWRICCIより
その塩害を防ぐ効果が期待できるのが竹炭です。
竹炭は多孔質であるため塩類を吸着させる効果があるとのこと。
塩類を孔質内に吸着する働きもあることから、連作によって蓄積する塩類の影響を軽減することができる。
日本土壌肥料学雑誌(2015):土壌pH中和資材としての竹炭の有効性より
竹炭を利用するのはマグネシウムなどの微量成分補給だけでなく、塩害を防ぐ意味もあるようです。
竹炭は塩害を軽減して連作障害を防ぐ役割もあるのね!
保肥性の向上が期待できる
竹炭を使うことで保肥性の向上に効果が期待できるかもしれません。
というのも、木炭を使うと保肥性が向上することが2001年の研究で明らかとなりました。
2種類の木炭を比較すると、単位重量当たりの硝酸イオン吸着量はウバメガシ炭がカラマツ炭より多くなった。
(中略)
カラマツ炭、ウバメガシ炭とも実験開始後かなりの長時間にわたって硝酸イオンの放出が認められたが、同じ大きさの土壌団粒からの塩化物イオンの放出が5~10分以内にすべて完了することを考えれば、粒状木炭による硝酸イオンの保持時間は極めて長いといえる。
日本土壌肥料學會(2001):木炭の孔隙特性が硝酸イオンの保持機能に及ぼす影響
論文の内容を要点だけまとめると
ということです。
木炭で窒素が長期間効くだけで、竹炭は関係ないのでは?
と思うかもしれません。
しかし、この保肥性が向上した原因は、木炭の多孔質によるものだと言及されています。
竹炭にも木炭に似た多孔質構造を持つため、木炭と同様に竹炭でも保肥性が向上することが期待できます。
土壌に吸着され難く、溶脱しやすい硝酸イオンの保持能力があることから、炭を利用した栽培は減化学肥料栽培にも繋がると考えられる。
島根中山間ゼ研報1:竹利用によるホウレンソウの11作連続栽培より
木炭同様に竹炭も多孔質のため、保肥性の向上が期待できる!
根を育てるカリウム補給が期待できる
竹炭には多くのカリウムが含まれています。
その量は牛糞堆肥に匹敵するほどの量とのこと。
ただし、窒素やリン酸といった栄養素は微量に含まれる程度です。
一般的な牛糞堆肥のカリウム含有率は平均で 20±11mgg-1とされ(生雲ら,2007),竹炭のカリウム含有率はこれに匹敵する.
日本土壌肥料學會:竹炭の成分組成から見た土壌改良資材としての特徴より
竹炭の水溶性カリウム含有率は、小松菜に肥料効果が認められた樹木葉炭化物の水溶性カリウム含有率に匹敵するとのこと。
そのため、竹炭を施用すると同様にカリウムの肥料効果が期待できます。
すると、カリウムの肥料を減らしても小松菜を栽培でき、減肥料効果が期待できます。
竹炭にはカリウムの肥料効果も期待できるんだな!
【竹炭の優れた特長】竹炭の量はどのくらい入れるべきか?
竹炭を使ってみたい!と思ってもどのくらいの量を使うべきか。
ほうれん草栽培で効果のあった竹炭施用量を調べると、1aあたり(10m四方の広さ)100kgとのことです。
そのため、1㎥あたり(1m四方の広さ)に換算すると1kgとなります。
基肥施用前に1a当たり100kgを土壌表面に均一に散布した後、約15cmの深さに混和した。
農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター(2006)『ホウレンソウ栽培における竹炭の利用』より
基肥施用時に1a当たり100kgを土壌に混和しました。
島根県農業技術センターだより第3号2006年3月より
この量の竹炭を施用したことで、施用しない場合に比べて10~30%の収量向上があったとのこと。
また、竹炭を利用しつつ肥料を20%減らしても、竹炭を利用しない場合と比べて同じくらいか、収量増加が期待できます。
ほかし肥料を20%減らしても、竹炭の施用で同等か、10~30%増収しました。
島根県農業技術センターだより第3号2006年3月より
家庭菜園なら1m当たり1kgを基準に竹炭の量を考えればいいね!
【竹炭の優れた特長】連作障害に強い土作りの方法 まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は連作障害を克服するための土壌改良剤として竹炭を紹介しました。
竹炭を利用することで
といったことが挙げられます。
これによって微生物が増え、土壌環境が整うと連作障害を減らすことができます。
また、竹炭利用によって
といったメリットもあります。
ぜひ竹炭を使って連作障害に強い土づくりにしていきましょうね。
それでは、なぎ(@lifenagi)でした。
コメント
今回は論文に基づいて竹炭の良さを分かりやすく教えてくださりありがとう御座いました。一度限りでなく長く家庭菜園を続けるには連作障害の対策が欠かせないですね。大変参考になりました。
いつもご覧いただきありがとうございます。
今回は論文を調べて情報の信頼性を担保しました。
連作障害は中々難しいテーマなので少しでもお役に立てれば嬉しいですね。
次回の記事も頑張ります!