一度使った土で野菜を育てると生育が悪いな
そうね。
特にほうれん草を育てた土で2,3回育てると格段に生育が悪いわ
家庭菜園をしていてこのように感じることはありませんか?
特にプランター栽培では同じ土を使い回すことが多く、こういった事が起きやすいです。
繰り返し同じ土を使って上手く野菜が育たない原因は
- 育てる野菜に土の酸度が合っていない
- 繰り返し使った土でミネラルが不足している
といった原因が考えられます。
私もほうれん草をプランターで育てましたが、1回目よりも2回目の栽培の方が上手く育ちませんでした。
具体的には、肥料をしっかり与えても葉が黄色くなったり、ほうれん草が小さいまま成長しないといった症状です。
そういった症状を見て土壌の酸度が合っていないのでは?と指摘を受けたことがあります。
そんなときにどんな対策をすべきか。
対策の1つに石灰を土壌にまいてみるというものです。
- なぜ石灰で解決するのか
- 石灰の効果とは
- どんな石灰を使うのか
と言ったことを本記事でご紹介します。
私と同じような症状になったことがある、肥料を与えているのに大きく育たない。
そういった方、予防したい方にピッタリな記事です。
良かったらご覧ください。
なぜ石灰を使うのか
石灰を利用する理由は、土壌の酸度をアルカリ性に近づけるためです。
日本の土は雨が多くアルカリ成分が流れてしまい、土壌が酸性に傾くと言われています。
石灰を撒くことで一時的に中和されますが、雨などによりまた酸性に傾いてくるので、都度pH調整は必要になります。
JA西春日井様より
また、雨自体も酸性に傾いているという話もあり、対策しないと酸性がドンドン強くなります。
それならどうしたら野菜が育ちやすい酸度になるの?
そこで、酸性に傾き過ぎた土壌にアルカリ成分の石灰を入れることで中和します。
石灰にはアルカリ性の資材なので酸性が強すぎる土壌をアルカリ性にすることができます。
ただし注意が必要なのは、石灰を土に撒きすぎるとアルカリ性が強くなりすぎること。
多く撒きすぎると野菜が全く育ちにくい土になってしまうので気を付けてください。
どの程度の酸度を目指すかは、育てる野菜で異なります。
例えば、トマトやナス、きゅうりはpHが6〜6.5が、ほうれん草は7付近が良いとされています。
JAこうか様より
そのため、自分が育てたい野菜の酸度を知っておくと酸度調整するときに便利です。
育てる野菜に合わせた酸度に調整するのが大切なんだね。
じゃあ、どうやって土壌の酸度を知れるのかというと。。。
そして、土壌の酸度を測定して手軽に土壌酸度の目安を知ることができます。
その方法は、酸度計を使うこと。
こちらの酸度計は、計測器メーカーで有名なシンワ製のものなので信頼性はあると思います。
ただし、同じシンワ製の酸度計でもデジタル表示の計測器がありますが、精度が良くないと言うコメントが多いのでアナログ式のものをご紹介しています。
石灰の効果とは
石灰の効果は、前章で紹介したように土壌の酸度を調整することです。
アルカリ性の石灰は、酸性に傾いた土壌を中和し中性に近づけられます。
ただし、石灰を撒きすぎると土壌がアルカリ性になり野菜が育ちにくい土壌になってしまいます。
野菜の多くは弱酸性〜酸性育ち、アルカリ性で育つものは少ないです。
また石灰にはカルシウムやマグネシウムなどの栄養素を補給する効果があります。
これらの栄養素は、三大栄養素のチッ素・リン酸・カリに次いで植物に重要な栄養素と言われています。
カルシウムは、細胞を強くして根の生長を促します。カルシウムが不足するとトマトの尻腐れ病になりやすいです。
また、キャベツやはくさいの芯腐れに効果を発揮します。
細胞組織を強化し、根の生育を促進します。
不足するとトマトの尻腐れ、キャベツやハクサイなどの芯腐れが発生しやすく、窒素過多、水分不足はカルシウム欠乏症を助長します。
太陽肥料株式会社様より
マグネシウムは、リン酸の吸収を助け、花や実がつきやすくなります。
リン酸は植物に吸収されにくい栄養素なので、マグネシウムの働きは重要です。
光合成に必要な葉緑素の構成元素で相乗効果によりりん酸の吸収や運搬を助けます。
太陽肥料株式会社様より
石灰はカルシウムやマグネシウムといった栄養素も補給できるんだな!
石灰の種類
石灰にはいろんな種類があります。
本記事では、家庭菜園で使われる3つの石灰をアルカリ性が高い順に紹介します。
これらの中から石灰を使うことが多いようです。
アルカリ成分は、消石灰 > 苦土石灰 > 有機石灰 の順に強いです。
それでは、それぞれの石灰について特徴を見ていきましょう。
そして、私がおすすめする石灰についても紹介します^^
消石灰
消石灰の主成分は、水酸化カルシウムです。
強アルカリ性のため、粘膜や皮膚に直接触れると炎症が起きる可能性があり、ゴーグルや手袋、マスク等を使用して施用します。
消石灰をアルカリ性のため家庭菜園で利用する、初心者が利用するのはおすすめしません。
なぜなら、消石灰のようなアルカリ性の強い資材を用いると、土壌の団粒構造が壊れ、土が固く締まってしまいます。
そうなると、土の中の微生物が住みにくくなり、カチカチの土壌となりやすく、植物も根を張りにくい土壌となります。
特に消石灰などのアルカリ性の強い石灰資材を多く用いると、土壌の団粒構造が破壊されてしまい、土がしまって固くなってしまいます。そうなると土壌中の微生物が生きにくい環境となり、根の生育も鈍るので、さらに固くなるという悪循環に陥ります。
株式会社松吉商店さまより
また、使い方を誤ると強アルカリ性のため土壌がアルカリ性に傾すぎることがあります。
アルカリ性に傾きすぎるとリン酸やマンガンなどの栄養素が吸収できなくなり、植物の生長に影響が出ます。
苦土石灰
苦土石灰の主な成分は、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムです。
その成分から土壌にカルシウムとマグネシウムを補給することができます。
苦土石灰は消石灰に比べてゆっくりと効きますが、有機石灰よりも強い効き目のため、植付け1~2週間前に施用するのが良いです。
苦土石灰は、植え付けの1~2週間前に施すのがベストなタイミングです。このタイミングで撒くと、ちょうど種まきや植え付けの頃にじわじわと効いてきます。
株式会社松吉商店様より
苦土石灰を散布する量は、1㎥あたり一握りが目安となります。
プランターの場合は1Lあたり3~5gを目安とします。
そして、苦土石灰を施用してから1週間程度経ってから肥料を施用し、さらに1週間後に野菜などを定植します。
苦土石灰は扱いやすく被害も出にくいですが、最も失敗しない散布方法としては、苦土石灰を混ぜ、1週間経ってから肥料を混ぜ、もう1週間経ったら植物を定植する方法をお勧め致します。
株式会社松吉商店様より
有機石灰
有機石灰の中で最も手に入りやすいものは牡蠣殻石灰(かきがら石灰)です。
牡蠣殻石灰はその名の通り牡蠣の殻を細かく砕いたものです。
アルカリ成分46%程度でおだやかに長期間持続し、大量に施用しても角の中和障害を起こしません。
使用する牡蠣殻石灰の量は、プランター1Lあたり5~6gを目安とします。
KOMERI様 How To 情報より
鉢・プランター(1L当たり) 花壇・菜園(㎥当たり) 消石灰 2~4g 60~120g 苦土石灰 3~5g 100~200g 有機石灰 5~6g 200~400g 有機石灰の使用量
また、炭酸カルシウムを主成分としており、商品によって若干異なりますが、成分の一例は以下の通りです。
多量要素 | % |
---|---|
炭酸カルシウム | 86.0 |
窒素 | 0.3 |
リン酸 | 0.2 |
カリ | 0.2 |
苦土(MgO) | 0.7 |
微量要素 | ppm |
---|---|
マンガン | 300 |
ホウ素 | 224 |
亜鉛 | 90 |
鉄 | 343 |
銅 | 16 |
モリブデン | 2 |
牡蠣殻石灰にはマンガをはじめとする微量栄養素が含まれており、それぞれの効果は以下の通りです。
マンガン
葉緑素の生成、光合成、ビタミンCの合成に関与します。アルカリ土壌や有機物の多い土壌で欠乏が起こりやすく、みかんや柿などの異常落葉はマンガン過剰症の一つで、症状回復には土壌pHを適正にする方法がとられます。
太陽肥料株式会社様より
ホウ素
水分、炭水化物、窒素代謝に関与し、根や新芽の生育を促進します。土壌中のホウ素は雨とともに流れやすく、pHが高いと植物が吸収しにくくなります。大根などのアブラナ科野菜はホウ素要求量が多く、不足すると赤しん症などが起こります。
太陽肥料株式会社様より
亜鉛
葉緑素や植物ホルモン(オーキシン)の生成に関与し、不足すると葉が小さくなったり、変形、葉脈間に黄色斑点が生じます。また、微量元素の中でも過剰害がでやすい元素で新葉の黄化という形で現れます。
太陽肥料株式会社様より
鉄
光合成に必要な葉緑素の生成に関与し、アルカリ土壌で鉄欠乏が起こりやすく、新葉が黄化(クロロシス)します。畑作物では過剰症はでにくいですが、ナスの鉄さび症やユリのスミ症(土壌pH4.8~5.5)などがあります。
太陽肥料株式会社様より
銅
植物体内の酸化還元、葉緑素の形成を助け、不足すると葉に黄白化、褐変、よじれなどが生じ、果樹には枝枯れなどの欠乏症が現れます。また、過剰では根の生育が悪くなり、古葉の黄化や鉄の欠乏も誘発します。
太陽肥料株式会社様より
モリブデン
窒素の消化吸収(アミノ酸、ビタミンC合成など)を助ける元素で過剰症はでにくいです。また、根粒菌の窒素固定にも関与し、必須元素の中で最も必要量が少ない元素です。
太陽肥料株式会社様より
プランター栽培でおすすめの石灰とは
私のおすすめする石灰は有機石灰です。
有機石灰は先に紹介したように、マンガンや亜鉛、ホウ素などの微量栄養素を含みます。
これらの栄養素は大量に必要なものではないですが、足りなくなると野菜の生長が遅くなったり、大きさが小さかったりと影響が出ます。
そのため、有機石灰を入れておけば簡単に補給ができます。
簡単に微量栄養素が補給できるなら野菜も育ちやすいな!
また有機石灰はゆっくりと分解されるので、有機石灰を撒いた後すぐに植え付けすることもできます。
プランター栽培では、前もって石灰を土に混ぜられないこともあるので、混ぜてすぐに植え付けができるメリットは大きいです。
さらに、有機石灰はphの値が他の石灰より小さいので多少土に混ぜすぎても大丈夫。
他の石灰はph値が大きいので少量で土壌の酸度が変わりますので、慣れるまで初心者には酸度調整が難しいです。
効果の即効性は無いですが、ゆっくり長く効く有機石灰は初心者にも使いやすい石灰だと思います。
有機石灰はゆっくり分解されるから、多少多くまいても影響が少ないわね。
有機石灰の使い方!土の再利用でコスパの良いプランター栽培 まとめ
最後までご覧頂きありがとうございます。
今回は家庭菜園には欠かせない石灰についてご紹介しました。
日本の土壌は、雨の影響で土壌が酸性に傾きやすい環境です。
すると、野菜が育ちやすい酸度よりも酸性に傾きやすく、石灰などアルカリ資材で中和する必要があります。
その石灰には3種類ありますが、消石灰 > 苦土石灰 > 有機石灰の順にアルカリ性が強いです。
また石灰にはカルシウムやマグネシウムといった栄養素を補給する役割もあります。
中でも私のオススメするのは有機石灰です。
有機石灰はアルカリ性が弱いですが、ゆっくりと分解されるので有機石灰をまいた後にすぐ植付けができます。
消石灰や苦土石灰はアルカリ性が強いので、このような使い方はできません。
アルカリ性が強いと土の団粒構造を破壊しやすくなる性質もあるため、アルカリ性が弱い有機石灰が良いと思います。
また有機石灰にはマンガンや亜鉛などの微量要素が含まれており、大量には必要ないですが不足すると野菜の生長に影響が出ます。
窒素・リン酸・カリが足りているのに野菜の生長がいまいちの場合は、微量成分が不足しているかもしれません。
そんな時に有機石灰を与えると一気に解決する可能性がありますので、良かったら試してみてくださいね。
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それでは、なぎ(@lifenagi)でした。
コメント
家庭菜園のプランター栽培においても、土の酸度を調整することで植物に良い影響を及ぼすのですね。勉強になりました( ´ ▽ ` )
数ある種類の中でも有機石灰が初心者向けなのですね。素敵な情報を教えてくださりありがとう御座いました(^^)
いつもご覧いただきありがとうございます。
有機石灰は即効性がありませんが、施用してからすぐに植え付けができるのでおすすめです。
なんと言っても微量成分も補給できるのがいいですね。